不器用オオカミとひみつの同居生活。
*॰ॱ
それでも、一週間だった。
花平くんがうちに慣れるまで、一週間。
ソファで眠りこけるその姿は完全に無防備で。
心を開いてくれたのか、
敵じゃないと判断されただけなのか。
どちらにせよ自由気ままに過ごすようになった花平くん。
その寝顔はやっぱり整っていて、じっと至近距離で観察してしまう。
見ているのは花平くんのはずなのに、
心にぱっと浮かび上がったのは
茅森家のサビ猫だった。
「……ミケ」
一度も触らせてくれなかったミケ。
ミケは私が撫でようとしたらいつもすぐに走って逃げてしまう。
たとえ寝ていたとしても、気配を察知して弾丸のように逃げ去る。