不器用オオカミとひみつの同居生活。
まさかのお金にぽかんとする私に、花平くんは「生活費に充てて」とだけ言った。
生活費にしてはかなり多いそのお金を受け取ることはできなくて。
かといって花平くんも珍しく譲らなかったので話し合って、食費は花平くん持ちになったのだ。
もちろん食費が足りなくなったわけじゃない。
むしろ余ってる。
そもそも私はそこまで物欲もないので、バイト代はまだまだ蓄えがあった。
……すこしだけど親からの仕送りもある。
だからこれっぽっちもお金に困っているわけじゃなく、花平くんの杞憂にすぎなかった。
「俺と食う量違うし」
「そりゃ男と女で食べる量は違うに決まってるじゃないですか」
まさかそんな心配をされていたなんて。
あの花平くんがそんなことを。
なんだかおかしくてつい、くすりと笑ってしまった。