不器用オオカミとひみつの同居生活。
シュッと風を切るような音がした。
えっ、はや……
花平くんの拳がクリーンヒットして後方に飛んでいく不良は、すでに気絶しているようだった。
それでも次から次へと襲いかかってくる。
中にはどこから、そしていつ調達してきたのか、鉄パイプを持っている人もいる。
私はその光景をおろおろしながら見ていたけど、花平くんは強かった。
ムダな動きが一切なく、どこに入れたらいいのかわかっているかのような一撃。
振り下ろされた鉄パイプも花平くんは余裕で見切っていた。
俊敏な身のこなしは、普段ぐーすか眠りこけているその姿からは想像できない。
多対1人なのに、劣勢なのは花平くんじゃなくて相手のほう。
この戦いが終わるのに、そう時間はかからなかった。