不器用オオカミとひみつの同居生活。
「ち、くしょう……」
最後の一人が膝から崩れ落ちた。
「てめーらもしつこいんだよ。次は手加減しねぇから」
少しだけ乱れた制服を直して、花平くんは地面に倒れる不良たちを一瞥した。
そして私に「行くぞ」と言って、またスーパーの袋を持ってくれる。
先に歩いていく花平くんをあわてて追いかけた。
「ま、待ってください。あの人たちは放っておいて良いんですか?」
「ほっとけ。どーせあいつら、またすぐにふっかけてくるから。さすがに5度目は容赦しねぇ」
「5度目……」
思ってたよりもずっと喧嘩をふっかけられていた。
花平くんはそれを毎回返り討ちにしているから、また今回も挑んできたのだろう。
隣を歩く花平くんは口の端が少し切れているだけで、それ以外はなんの傷も負ってなかった。