不器用オオカミとひみつの同居生活。


「……やっぱり花平くんの噂は本当だったんだ」

「噂ってなんの」


私はすうちゃんから聞いた、“暴走族の総長をやっている”という噂があることを話した。


すると花平くんが嘲るように息をもらした。


「んなことするわけねーだろ。どこにも属するつもりはねーし、だれともつるむ気もねーよ」

「でも、じゃあなんで喧嘩なんか」

「別に。売られるから買ってるだけ。
ま、たまに気分で売るときもあるけど」


花平くんは顔で後ろを示した。


「集団でしか戦えねーやつが世界で2番目に嫌い」


あーいうふうに、と。

視線を追うと、よろよろと逃げ去っていく不良たちの後ろ姿が見えた。



「ちなみに1番は?」

「……自分の顔」

「嫌味ですか?」


花平くんは何も言わなかった。


< 78 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop