不器用オオカミとひみつの同居生活。
でも、そうか。
集団で行動するのが嫌いなのは、たしかに彼らしい。
「じゃあ花平くんは一匹オオカミですね」
「なんだって?」
「孤独を愛する一匹オオカミ」
「……お前、ちょくちょく俺に喧嘩売ってくるよな」
想像通りというか、やっぱり花平くんは怒らなかった。
花平くんは私が多少失礼なことを言ってもその場で一言二言言い返すだけで、その後も引きずるようなことはしない。
まあ忘れてるだけなんだと思うけど。
「というかお前も、俺からすれば一匹オオカミに見えんだけど」
「本当ですか?じゃあ私たち仲間ですね。ふたりぼっちの一匹オオカミ」
特に考えがあって言ったわけじゃなくて、ぱっと思いついたことを口にしただけ。
花平くんが何かを言おうとして口を開いた。
けど、それははっと白い息に変わったのだった。
「バカじゃねーの」