不器用オオカミとひみつの同居生活。
「いった……え、あれ、どこ?」
こんな日にかぎって手探りでシャワーを当てられなくて。
もたもたしていると誰かが頭にお湯をかけてくれた。
「あ、どうもありがとうございます」
目にかかっていた泡もながれ落ちたから、残りはシャワーで流すことにした。
その音だけが浴室内に響きわたる。
ぼーっとしながら頭を流していた私は、
浴槽を振り返った。
「花平くん、いつからそこに?」
「最初からいたわ」
湯気でぼやけてはっきり顔は見えなかったけど、「なにが、やったーなんかお湯が溜まってる、だよ。勝手に湯が溜まるわけねーだろ」と言うその声は呆れてかえっていた。