不器用オオカミとひみつの同居生活。
「お前、俺が風呂に入ってるときに乱入してくんのやめろよ」
先に出ていた花平くんは私を待ち構えていたのか、脱衣所の外に座っていた。
じろりと向けられた目が痛いほどに刺さる。
彼もまた上がったばかりなので、髪が濡れていた。
乱入っていうのは語弊があるんだけど、気付かずに入ってしまったのは確かだったから。
バスタオルで頭を拭いていた私は、腰を折って「申し訳ありません」とつい接客のときのように謝ってしまう。
じつはこれが初めてではなくて。
すでに何度か前科がある私。
でも決して狙って入ってるわけではないのだ。
花平くんが入ってることを知らなかったり、忘れてたり。
しゃんとしてたら気付くんだろうけど、なぜか気づけないときが多かった。
そろそろ私、痴女だって思われてそう。