不器用オオカミとひみつの同居生活。
花平くんはしばらく黙って私を見つめていたけど、やがて小さく息を吐いた。
「まじで俺に興味ないんだな、お前」
つまり、興味がないから気付かずに入ってくるんだろ、と?
そういうわけじゃない、と思うんだけどな。
「というか、花平くんも入ってきたことあるじゃないですか」
そうだ、脱衣所で出くわしたことがあった。
あのときの花平くんもそこまであせってる様子はなかったし、お互いさまだと思う。うん。
「一回だけだろ」
「一回も数回も変わりませんよ」
「開き直ってんじゃねえ」
これ以上怒られる前に、と花平くんの横をするりと通り抜けてリビングに行くことにした。
通りすぎる際に、手に持っていた新しいバスタオルを差し出した。
いい加減、タオルで頭を拭くという行為を覚えてほしい。
それを受け取る……
ふりをした彼に、腕を引っ張られた。