不器用オオカミとひみつの同居生活。
いつかのすうちゃんの言葉を思い出した。
『男はオオカミよ。あわよくばの塊。
下心の集大成。ぼんやりしてるカヤなんか……』
すうちゃんは男の人になんの恨みがあるんだろう。
羊の皮をかぶったオオカミ。
いや、花平くんはどちらかといえばオオカミの皮をかぶってるけど……
あれ以来、
というかあれに懲りて、お風呂に入る前には花平くんがどこにいるのかを確認するようになった。
「よし、そこにいますね。
じゃあ私お風呂入ってきますんで」
「律儀なことで」
指さし確認までする私を、馬鹿にするように笑う。誰のせいだ、誰の。
だけど、元はといえば私の不注意からはじまったことだからぐうの音も出ない。
「だからってあんなことしなくても……」
「指先冷えてたし、ちょうど良かったわ」
「人のお腹で末端冷え性を治さないでください!」