不器用オオカミとひみつの同居生活。
「花平くん」
「あ?」
「私、明日いろいろ洗濯にかけようと思ってるんですけど」
「それが?」
「その布団洗濯しなくていいですよね。
一回も使ってるところ見たことないし」
花平くんは敷き終わった布団のうえにぼふんと倒れ込んだ。
「使ってんだろ、ちゃんと」
「最初だけですよね。
一晩、そこで朝を迎えたことあります?」
「その言い方エロくね。やべーな茅森」
「やべーのは花平くんの思考回路です」
頭の上で腕を組んでいた花平くんはいつもみたいにあくびをした。
「寝る」
「ちゃ・ん・と!その布団で寝てくださいね」
もちろん返事は返ってこない。
まだ起きてるんだろうけど、この人は返す意味がないと判断したら何も言わない。