不器用オオカミとひみつの同居生活。



起きたら雨は上がっていた。


もしかして、昨晩の雨もそこまで強まらなかったんじゃないかって思っちゃうほど。

とても気持ちの良い朝だった。



……目の前に彼さえいなければ。


花平くんの右手が私の頭に、左手が背中に回っている。


なんで毎回毎回、同じような体勢なんだろうか。

というかなんで私の寝床に潜り込んでくるんだろう。


オオカミだから気をつけろって言ったのはそっちなのに。

気をつけるも何も、距離ゼロじゃんか。


朝が弱い(当社調べ)花平くんは、ちょっと触れたぐらいじゃ起きない。


『花平くんって低血圧?』

『自分の血圧なんて興味ねー』


なんて言ってたけどおそらく血圧低め。


少し寝癖がついている髪に触れてみる。


< 95 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop