不器用オオカミとひみつの同居生活。
そのまま、目元にかかっていた髪をそうっと払った。
閉じられた瞳の横にあった痣は、もう綺麗さっぱりなくなっていた。
そのほかの傷も、目立つようなものはない。
最初に傷の手当てをしたとき、花平くん全然痛そうにしてなかったよね。
というか痛そうにしているところを見たことがなかった。
「花平くんこそ何も感じないんじゃないの」
ぽつりとつぶやいて、ほおをツンツンつついてみる。
ピアスって寝てるときに引っかかったりしないのかな。
耳元できらりと光るピアスは小ぶりだったけど、存在感はあった。
ピアスはあけるときに痛そうだけど、
「私も金髪にしたら似合うかなぁ」
「似合わねーんじゃね」
やめとけよ、と。
いつの間にか目を開けていた花平くんが、背中にまわしていた腕を持ち上げた。
左手が私に向かって伸びる。