前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
このたび、相愛夫婦となりました
〝今夜は一緒に眠りましょう〟
〝俺も伊吹が足りなくて困っていたところ〟
お弁当箱を洗う前、私のメッセージの下に書かれている先生からの返事を見て口元がほころんだ。恥ずかしいフレーズの贈り合いっこはもはや日課となっている。
入籍して三週間、ありきたりな表現しかできないがとにかく幸せだ。
先生の帰宅が遅くなったり当直だったりして、なかなかまとまったふたりの時間が取れなかった最近も、このやり取りだけで心が満たされる。
夕食の洗い物もシャワーも済ませた今、私はリビングのソファに座り、交替でバスルームに向かった先生を待っていた。
今日は立ち仕事が多かったし、金曜日なので一週間の疲れが脚に来ている。ふくらはぎをさすっていると、あっという間に彼が戻ってきた。
ざっと乾かしたラフな髪に、鎖骨と前腕の筋が露わになったゆるっとしたTシャツ姿は、だいぶ見慣れたとはいえいまだにドキッとする。甘い予感を抱いている今夜などは、特に。