前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「悪い、いつもこんな調子なんだ。会ってくれただけマシだが」
「いえ……」
そう言って首を横に振るのが精一杯だ。久夜さんは自然に私の手を取り、エレベーターに向かって歩きだす。
「昔は普通に懐いてくれてる可愛いやつだったんだ。いつか伊吹も含めて、また仲よくなれたら楽しいだろうな。打ち解けてもらえるまで根気よく接するよ」
切なげだが諦めてはいない様子の彼に、胸が苦しくなる。
久夜さんのために協力したい。その気持ちはもちろんあるのにどうしても気が進まなくて、私の心は重く沈むばかりだった。
帰りの車内、衝撃的な再会のせいで私は軽く放心状態になっていた。窓の外を流れていく綺麗な夜景をぼんやり眺めていると、久夜さんが思い出したように言う。
「そういえば、院長の奥さんが主催している食事会があって、それに伊吹にも来てもらいたいって伝言を頼まれたんだった」
先輩の件も重大だが、さらに別の問題が発生して、ひとまず頭を切り替える。
院長の奥様が主催する食事会って、例の〝医者妻の会〟なのでは……。末永さんが話していたちょっぴり怖い内容が過ぎり、ギクリとする。
「いえ……」
そう言って首を横に振るのが精一杯だ。久夜さんは自然に私の手を取り、エレベーターに向かって歩きだす。
「昔は普通に懐いてくれてる可愛いやつだったんだ。いつか伊吹も含めて、また仲よくなれたら楽しいだろうな。打ち解けてもらえるまで根気よく接するよ」
切なげだが諦めてはいない様子の彼に、胸が苦しくなる。
久夜さんのために協力したい。その気持ちはもちろんあるのにどうしても気が進まなくて、私の心は重く沈むばかりだった。
帰りの車内、衝撃的な再会のせいで私は軽く放心状態になっていた。窓の外を流れていく綺麗な夜景をぼんやり眺めていると、久夜さんが思い出したように言う。
「そういえば、院長の奥さんが主催している食事会があって、それに伊吹にも来てもらいたいって伝言を頼まれたんだった」
先輩の件も重大だが、さらに別の問題が発生して、ひとまず頭を切り替える。
院長の奥様が主催する食事会って、例の〝医者妻の会〟なのでは……。末永さんが話していたちょっぴり怖い内容が過ぎり、ギクリとする。