前略、結婚してください～過保護な外科医にいきなりお嫁入り～

「私、ですか？」
「ああ。今週の土曜、俺は講演会があって出席しなきゃいけないんだが、その間に奥様方で集まって美味いもの食べるんだと。『明神先生の奥様にぜひお会いしたいわ』って目を輝かせていたよ」


　うっ、プレッシャー……。明神先生の結婚相手だし、気になって当然かもしれないけれど、こんな女でガッカリされないだろうか。それよりまず、皆さんとうまくお話できるか……。

　不安に駆られて悩む私に、久夜さんは運転しながら優しく問いかける。


「どうする？　院長の奥さんはそういう集まりが好きで、とにかくいろんな人に声をかけてる。断ったって全然気にしないだろうから、無理して行かなくてもいいぞ」


　彼は私がこういう集まりが苦手なことを察しているのだろう。気遣いがありがたい。

　でも、妻である私が消極的すぎたら、久夜さんの評判にも関わりそうだ。彼のためだと思えば尻込みしている場合ではない。それに……。