前略、結婚してください～過保護な外科医にいきなりお嫁入り～

　少々怪訝に観察していると、彼女たちはわざとらしい口調で問いかける。


「ご主人のお給料で満足してる？　放射線科で勤務医って言ったら……ねぇ」
「それに、最近じゃ自宅で画像読影ができるんでしょう？　ラクになっていいわよね～」


　出た。これがマウンティングか……！

　そういえば、末永さんが『病院名や診療科で優劣を判断する人もいる』と言っていたっけ。さっきの質問はそれを確かめたかったのだろうと推測し、私の表情が強張った。

　放射線科医は他の科に比べると年収が低めだと聞いたことがある。とはいえ、それを持ち出して見下すような発言をするなんて不快極まりない。

　次々と失礼な文句を口にする彼女たちに、園田さんは苦笑するしかない様子だ。由紀さんも他の方と話していて気づいていないし、私だけが悶々としている。

　控えめな園田さんはまるで自分を見ているかのようで、なんとかしてあげたくなる。

　ふいに会話が途切れたタイミングで、私は自分が持っている知識を引っ張り出し、彼女に向かって口を開いた。