前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
由紀さん、園田さんとお別れしたあと、久夜さんの車に乗り込んでマンションを目指す。夕暮れの横浜の街を走りながら、私は改めてお礼を言う。
「来てくれてありがとうございました。久夜さんが文句をつけられて悔しかったのに、なにも言い返せなかったので助かりました」
苦笑する私に、彼は温かな言葉をくれる。
「君は頑張っただろ。その証拠に、もう友達ができていたじゃないか」
友達って、園田さん? そうか、一応連絡先も交換したし友達と呼んでもいいのか。なんとなく園田さんとはいい関係を築けそうな気がする。
彼女の味方についたことで北澤さんたちに目をつけられたときは、余計なことをしてしまったかもしれないと思ったが、やはり無駄ではなかったのだろう。声をかけてよかった。
その頑張りを、久夜さんは見ていたわけでもないのに察してくれたのも嬉しくて、私は口元を緩めた。
同時に、彼が登場して教授夫人たちをひと泡吹かせたシーンを思い返す。彼がしっかりと持っている信念を知り、ドクターとして人として、ますます尊敬した。