前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
私たち姉弟は、昔から仲がいい。成長した大地はツンツンしていることが多いけれど、姉を甘やかす発言が度々飛び出るので、周りからは陰でシスコン認定されているほど。
今も私の結婚には否定的なようで、訝しげな目をして問いかける。
「本当に姉ちゃんにできる? 他人の男とずっと一緒に生活すること」
彼の声には心配も交ざっているのがわかり、私は目を伏せた。
大地は、私が男性が苦手なことを知っている。そうなった原因は詳しく話していないが、学生時代に私が男子を避けているのを見て気づいたと言っていた。
琴線に触れただけで、過去の記憶はありありと蘇ってくる。消し去りたいのに、決して消えはしないそれをなんとか頭の隅に押し込め、頼りない声で答える。
「……自信はない」
「なら、無理する必要ないだろ。ここにいろよ」
素っ気ない口調で放たれたイケメンなセリフに、つい笑ってしまった。姉に対してもこんな言葉が出てくるんだもの、女友達にはもっと甘いんだろう。モテるわけだ。
結局、解決策は見つからないまま、祖母がエンディングノートを書いていることもまだ話さずに、いつもと変わらない家族との平和な時間を過ごした。
今も私の結婚には否定的なようで、訝しげな目をして問いかける。
「本当に姉ちゃんにできる? 他人の男とずっと一緒に生活すること」
彼の声には心配も交ざっているのがわかり、私は目を伏せた。
大地は、私が男性が苦手なことを知っている。そうなった原因は詳しく話していないが、学生時代に私が男子を避けているのを見て気づいたと言っていた。
琴線に触れただけで、過去の記憶はありありと蘇ってくる。消し去りたいのに、決して消えはしないそれをなんとか頭の隅に押し込め、頼りない声で答える。
「……自信はない」
「なら、無理する必要ないだろ。ここにいろよ」
素っ気ない口調で放たれたイケメンなセリフに、つい笑ってしまった。姉に対してもこんな言葉が出てくるんだもの、女友達にはもっと甘いんだろう。モテるわけだ。
結局、解決策は見つからないまま、祖母がエンディングノートを書いていることもまだ話さずに、いつもと変わらない家族との平和な時間を過ごした。