前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「どうした? ひどい顔してるぞ」
どうやらすぐにわかるほどひどいらしい。私は苦笑を浮かべ、スマホに文字を打って画面を向けた。
大地の表情がみるみる深刻そうに変わっていく。
「は……? 声が出ない、って……」
信じられない様子の彼に〝とりあえず上がって〟というメッセージを見せ、リビングダイニングに促した。
ソファに座り、自分が失声症かもしれない旨と、最近ストレスが溜まっていたみたいだとざっくりとした原因をスマホに打ち込んで見せる。
大地は険しい面持ちで「旦那のせいじゃねぇの?」としばし疑っていたけれど、それについてはぶんぶんと首を横に振って完全否定した。
思うように言葉にできないのがもどかしくなるも、知り合いの人とトラブルがあって……などと大まかに説明すると、一応納得してもらえたらしい。
「直接の原因があの人じゃないってのはわかったよ。でも、ここにいるのはつらいんだろ」
本心を突かれて瞼を伏せる私に、大地は迷いのない瞳を向けて真剣に言う。
「だったら出よう。一日でも一週間でも、それ以上だっていいよ。姉ちゃんの心がしっかり休まるまで、少し離れたほうがいいと思う」
どうやらすぐにわかるほどひどいらしい。私は苦笑を浮かべ、スマホに文字を打って画面を向けた。
大地の表情がみるみる深刻そうに変わっていく。
「は……? 声が出ない、って……」
信じられない様子の彼に〝とりあえず上がって〟というメッセージを見せ、リビングダイニングに促した。
ソファに座り、自分が失声症かもしれない旨と、最近ストレスが溜まっていたみたいだとざっくりとした原因をスマホに打ち込んで見せる。
大地は険しい面持ちで「旦那のせいじゃねぇの?」としばし疑っていたけれど、それについてはぶんぶんと首を横に振って完全否定した。
思うように言葉にできないのがもどかしくなるも、知り合いの人とトラブルがあって……などと大まかに説明すると、一応納得してもらえたらしい。
「直接の原因があの人じゃないってのはわかったよ。でも、ここにいるのはつらいんだろ」
本心を突かれて瞼を伏せる私に、大地は迷いのない瞳を向けて真剣に言う。
「だったら出よう。一日でも一週間でも、それ以上だっていいよ。姉ちゃんの心がしっかり休まるまで、少し離れたほうがいいと思う」