前略、結婚してください～過保護な外科医にいきなりお嫁入り～

「俺は、伊吹に惚れてた」


　過去の想いを告白され、私はやや目を丸くする。彼がこんなにストレートに言うとは思わなかった。


「伊吹に友達が増えてきて、同じクラスの野郎共と話しているのを見かけるようになった頃から、余計にムカついて仕方なかった。ただの嫉妬だ」


　そうか、それで途中から急に態度が変わったのか……。当時を思い返しながら、先輩の話に耳を傾ける。


「離婚して、顔も知らない男との間に俺を作った母親の影響で、恋愛なんてクソくらえだと思ってた。だから伊吹に惹かれる自分に戸惑ったし、いつも気持ちとは裏腹な行動ばっかりとっていて……」


　彼は端整な顔に後悔を滲ませ、「傷つけて、本当に悪かった」と再び謝った。

　反省しているのがひしひしと伝わってきて、私の中から恐怖や苦手意識はいつの間にか消えていた。彼がどうしてあんなふうにしたのか、ちゃんと理解できたから。


〝本当の気持ちを話してくれて、ありがとうございます〟


　ずっと心にかかっていたもやが晴れた気分でお礼を伝え、続けてこう書く。