前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
〝好きな人がいるんです。その人以外は考えられません〟
熱くなる顔を俯かせ、急いで書いたせいで少々乱れた文字を見せた。一瞬目を丸くした末永さんは、天を仰いで片手で両目を覆う。
「なんってピュアなの……! 荒んだ心に効くわ~」
感服したように唸ったあと、私の両肩にポンと手を乗せ、「その人とうまくいくように願ってる」と告げる。その可能性は限りなく低いけれど気持ちは嬉しいので、はにかんで小さく頷いた。
末永さんが、ブックコートを綺麗に貼り終わった本の配架をしに向かうのを見送ると、ちょうど美來ちゃんと祖母が一緒に入ってきた。途中で偶然会ったのだろう。
祖母は疲れているのか、いつにも増して動作がゆっくりだ。それでも、今日も顔を見られてひと安心し、「ふたりともこんにちは」と笑顔を向けた。
「やっほー、イブちゃん」
「おや、今日はほかの子たちはいないのかい。静かだねぇ」
「梨乃ちゃんは検査だってー」
誰もいないラウンドテーブルを見て珍しそうにする祖母に、美來ちゃんがさくっと告げて新刊のコーナーを見始める。さばさばとした彼女にクスッと笑い、祖母にたわいのない話題を振る。
熱くなる顔を俯かせ、急いで書いたせいで少々乱れた文字を見せた。一瞬目を丸くした末永さんは、天を仰いで片手で両目を覆う。
「なんってピュアなの……! 荒んだ心に効くわ~」
感服したように唸ったあと、私の両肩にポンと手を乗せ、「その人とうまくいくように願ってる」と告げる。その可能性は限りなく低いけれど気持ちは嬉しいので、はにかんで小さく頷いた。
末永さんが、ブックコートを綺麗に貼り終わった本の配架をしに向かうのを見送ると、ちょうど美來ちゃんと祖母が一緒に入ってきた。途中で偶然会ったのだろう。
祖母は疲れているのか、いつにも増して動作がゆっくりだ。それでも、今日も顔を見られてひと安心し、「ふたりともこんにちは」と笑顔を向けた。
「やっほー、イブちゃん」
「おや、今日はほかの子たちはいないのかい。静かだねぇ」
「梨乃ちゃんは検査だってー」
誰もいないラウンドテーブルを見て珍しそうにする祖母に、美來ちゃんがさくっと告げて新刊のコーナーを見始める。さばさばとした彼女にクスッと笑い、祖母にたわいのない話題を振る。