前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
 軽く眉根を寄せてもう一度手紙に目を落とし、続く文を見てしばし固まった。

 何度か頭の中で繰り返して意味を理解するも、現実味がない。

 信じられない気持ちで目線を上げれば、可愛い妻が白い肌をうっすら桃色に染めて微笑んでいる。

「もう一枚あります」と封筒を指差され、ぎこちない動きで確認すると、便箋ではなくレントゲンに似た写真が入っていた。

 胸の奥から熱いものが急激に湧き上がってくる。


「驚かせてごめんなさい。今日病院に行ってはっきりわかったんです。やっぱり、口に出すのはちょっと恥ずかしくて手紙に──」


 話している最中にもかかわらず、俺は彼女を抱きしめていた。

 手が、心が震える。驚きと嬉しさと、いろいろな感情が溢れて止まらない。

 言葉が出てこなくてただただ抱きしめていると、伊吹はふふっと笑って俺の背中をぽんぽんと優しく叩いた。俺よりずっと落ち着いていて、すでに母性が生まれている気がする。
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