前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「腹を痛がってるのか。今、突然?」
「はい。ここに来たときから調子が悪そうでしたが……」
泣きそうになりながら、震える声で答えた。先生は祖母の膝を折り曲げて仰向きに寝かせ、冷静に問いかける。
「トキさん、大丈夫ですか? 少しお腹触りますよ」
先生が手でお腹の辺りを押していくと、さらに痛がる様子を見せた。私はたまらず「おばあちゃん!」と叫ぶ。
すると、私の背中に大きな手が当てられ、はっとする。隣に目を向ければ、凛々しい瞳と視線がぶつかった。
これまでたくさんの緊迫した状況を目の当たりにしてきたであろうそれは、勇敢な色に満ちている。
「大丈夫。落ち着いて」
明神先生の声と手の感覚はとても頼もしく、動転した心が宥められる。彼がいるからきっと助けてくれる──そんな希望が光を放ち始め、瞳を潤ませて頷いた。
少しして、末永さんが呼んでくれたらしく、看護師がやってきた。先生はてきぱきと指示を出し、祖母はストレッチャーに乗せられて運ばれていく。
私は末永さんに肩を抱かれながら、震える手を握り、祖母の無事をひたすら願った。
「はい。ここに来たときから調子が悪そうでしたが……」
泣きそうになりながら、震える声で答えた。先生は祖母の膝を折り曲げて仰向きに寝かせ、冷静に問いかける。
「トキさん、大丈夫ですか? 少しお腹触りますよ」
先生が手でお腹の辺りを押していくと、さらに痛がる様子を見せた。私はたまらず「おばあちゃん!」と叫ぶ。
すると、私の背中に大きな手が当てられ、はっとする。隣に目を向ければ、凛々しい瞳と視線がぶつかった。
これまでたくさんの緊迫した状況を目の当たりにしてきたであろうそれは、勇敢な色に満ちている。
「大丈夫。落ち着いて」
明神先生の声と手の感覚はとても頼もしく、動転した心が宥められる。彼がいるからきっと助けてくれる──そんな希望が光を放ち始め、瞳を潤ませて頷いた。
少しして、末永さんが呼んでくれたらしく、看護師がやってきた。先生はてきぱきと指示を出し、祖母はストレッチャーに乗せられて運ばれていく。
私は末永さんに肩を抱かれながら、震える手を握り、祖母の無事をひたすら願った。