前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 休日はだいたい映画をレンタルして見たり、新刊の書籍をチェックをしたり、母や大地と食材の買い出しをしに行ったりして終わる。

 この土日も同じだったのだが、どうしても明神先生からの返事が気になって仕方なく、なにをしていても身が入らなかった。日曜の夕方、夕飯の準備をしている今も同じく。

 ぼんやり想いを巡らせ、できたての炊き込みご飯を混ぜていると、祖母のお見舞いに行っていた母が帰ってきた。平日はパートをしているので、母が病院に行くのは土日が多い。

 母はリビングダイニングの椅子にバッグを置き、対面式のキッチンに立つ私に柔和な笑顔で話しかける。


「お義母さん、元気そうでよかったわ」
「うん。昨日も休憩中に会ってきたけど、『あげぽよ~』って言ってた」
「それ使い方合ってるのかしら」


 相変わらず若者言葉を使うのが好きな祖母に、母は呆れ気味の笑いをこぼした。そして、しみじみと心境を口にする。


「まだやりたいこともあるだろうし、長生きしてもらわないとね」
「そうだね」


 私も同じ気持ちで頷いた。祖母の願いのひとつは叶えられるかもしれないと、胸の中で希望を膨らませて。
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