前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「それにしても炊き込みご飯に天ぷらに、今日はなにかのお祝いか?」


 父が茶化すように言い、笑っていた私はピクリと反応した。いいタイミングかもしれないと思い、口を開く。


「……そう、祝ってほしいの」


 ぽつりと呟いて箸を置く私に、三人が注目する。皆の顔を見回し、緊張した面持ちで息を吸い込んだ。


「私、結婚する」


 突然の宣言に、三人ともぽかんとして固まった。

 決意を口にすると同時に、自信のない自分を振り切って覚悟を決めたかったのだ。こうでもしないと、いつまでも悩んでしまいそうだったから。

 数秒間の静寂のあと、皆は総立ちしそうな勢いで「えええっ!?」と驚愕の叫び声を上げた。母はこれでもかと目を見開き、前のめりになって問いかけてくる。


「結婚って、付き合ってる人がいたの!?」
「付き合ってはない……けど、ずっと好きだった人で、その人も『いいよ』って……」


 ものすごく恥ずかしくて急激に全身が熱くなるけれど、なんとか声に出して伝えた。

 それを聞いた大地は椅子にどかっと背中を預けて腕を組み、不機嫌極まりない顔でバッサリと切り捨てる。
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