前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「やっぱり仕事のときとは雰囲気が違うね。なんか忍びないな」
ひとり言のように付け足された最後のひとことに、私は首を傾げる。
「どうしてですか?」
「こんなに可愛い子と並ぶのが俺みたいなおっさんで」
「っ、先生はおっさんなんかじゃないです!」
思わぬ理由が返ってきて、『可愛い』と言われたことに対しては嬉しさが込み上げるも、ぶんぶんと首を横に振った。
贔屓目に見てもこっちのほうが釣り合わないくらいのイケメンだし、たとえ五十代になっても先生は決しておっさん化しないですから!
激しく否定すると、無表情だった彼がクスッと笑いをこぼした。
「そう? まあ、遠慮なく隣にいさせてもらうけど」
先生は私の横に来て「行こう」と促す。『忍びない』と言っておきながら並んで歩いてリードしてくれる先生……なんだかズルい。
私も自然に頬が緩み、同じ歩調で彼についていく。雲の上を歩いているかのごとく足が地についていない感覚で、緊張しているのがはっきりわかってもまったく不快じゃない。
一方の先生は、いつもと変わらず気だるさを醸し出していて、でもそれがだらしなくは見えず大人の余裕に感じられるから、とにかくカッコいいのだ。
ひとり言のように付け足された最後のひとことに、私は首を傾げる。
「どうしてですか?」
「こんなに可愛い子と並ぶのが俺みたいなおっさんで」
「っ、先生はおっさんなんかじゃないです!」
思わぬ理由が返ってきて、『可愛い』と言われたことに対しては嬉しさが込み上げるも、ぶんぶんと首を横に振った。
贔屓目に見てもこっちのほうが釣り合わないくらいのイケメンだし、たとえ五十代になっても先生は決しておっさん化しないですから!
激しく否定すると、無表情だった彼がクスッと笑いをこぼした。
「そう? まあ、遠慮なく隣にいさせてもらうけど」
先生は私の横に来て「行こう」と促す。『忍びない』と言っておきながら並んで歩いてリードしてくれる先生……なんだかズルい。
私も自然に頬が緩み、同じ歩調で彼についていく。雲の上を歩いているかのごとく足が地についていない感覚で、緊張しているのがはっきりわかってもまったく不快じゃない。
一方の先生は、いつもと変わらず気だるさを醸し出していて、でもそれがだらしなくは見えず大人の余裕に感じられるから、とにかくカッコいいのだ。