前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
 ほのぼのと笑う両親ふたりにつられて、私も頬が緩んだ。大地だけが呆れ顔で「マジかよ……」と呟いている。

 先生はすんなりと受け入れてもらえたようで、それからは夕飯を食べながら楽しく談笑したのだった。


 二時間ほどでお開きにして、大地はともかく、すっかり先生のことを気に入った両親に見送られて私たちは玄関を出た。

 先生の車は近くのパーキングに停めてあるそうで、見送りはいいと言われたけれど、せめて家の敷地を出るまではついていきたい。

 月明かりに照らされる道路に出てこちらを振り返る先生に、今日一日の感謝を込めて頭を下げる。


「今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ。伊吹の家族はあったかくて楽しいな。これから大地くんとも仲良くなろう」


 先生の目標を聞いて、さっきまでのふたり思い返す。威嚇するワンコみたいな弟と、それを軽くあしらう先生のやり取りは面白かったな。

 クスクス笑う私に、彼はやや真面目な表情になって言う。
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