前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
「悪いね、いい気はしない話で」
考えを巡らせて黙り込む私に、お父様が申し訳なさそうに言うので、慌てて「いえ!」と首を横に振った。そして、頭の中でまとめた自分の意見を口にする。
「先生がたとえ結婚にいいイメージを持っていなかったとしても、それをご両親のせいにはしないはずです。とても心の温かい人ですから」
ゆっくりと伝えれば、強張っていたご両親の表情が解れていくのがわかった。
お父様は「ありがとう、伊吹さん」と切なげに微笑み、言葉を続ける。
「久夜はああ見えていろいろなことを考えている。自分より人の心配をするやつで自分自身には無頓着だから、君が気にかけてやってくれると助かる」
「久夜をよろしくね」
ふたりに真摯に頼まれ、私は背筋を伸ばして「はい」と答えた。
大切な息子さんを想うご両親のためにも、妻としての自覚を持って彼を支えようと、改めて心に誓いながら。
少しお茶をしてからおいとまして、今は先生の車で家まで送ってもらっている。今日は呼び出しもかからず、ご両親とも楽しい時間を過ごせていい一日だった。
考えを巡らせて黙り込む私に、お父様が申し訳なさそうに言うので、慌てて「いえ!」と首を横に振った。そして、頭の中でまとめた自分の意見を口にする。
「先生がたとえ結婚にいいイメージを持っていなかったとしても、それをご両親のせいにはしないはずです。とても心の温かい人ですから」
ゆっくりと伝えれば、強張っていたご両親の表情が解れていくのがわかった。
お父様は「ありがとう、伊吹さん」と切なげに微笑み、言葉を続ける。
「久夜はああ見えていろいろなことを考えている。自分より人の心配をするやつで自分自身には無頓着だから、君が気にかけてやってくれると助かる」
「久夜をよろしくね」
ふたりに真摯に頼まれ、私は背筋を伸ばして「はい」と答えた。
大切な息子さんを想うご両親のためにも、妻としての自覚を持って彼を支えようと、改めて心に誓いながら。
少しお茶をしてからおいとまして、今は先生の車で家まで送ってもらっている。今日は呼び出しもかからず、ご両親とも楽しい時間を過ごせていい一日だった。