前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
先生の反応はどうだっただろう、とそわそわして待っていた翌日の夕方、思いのほか早くに玄関のドアが開いた。今日は大きな問題は起こらず帰れたみたい。
昨日と同様に夕飯の支度をする手を止めて、旦那様を迎えに上がる。
「おかえりなさい」
「ただいま」
いたって平凡だが幸せを感じる挨拶を交わし、先生はいつも通りの気だるい調子でリビングへと進む。そして、例のランチバッグを取り出して私に渡してきた。
「弁当、ありがとな。夕飯の前にシャワー浴びてきていい?」
「はい、どうぞ」
バッグを受け取って普通に返したものの、おや?と首をひねる私。
先生、メッセージに気づいてない……? いや、そんなはずないよね。お弁当の上に入れておいたし。リアクションするほどのものではなかったかな。
ちょっぴり残念で肩を落としつつ、シンクに移動してバッグを開ける。中にはメッセージカードが入ったままになっていたのだが、それは朝とは明らかに違っていた。
……私の文字の下に、返事が書いてある!
目を見張ってカードを手に取り、先生の字をまじまじと見て頭の中で読み上げる。