前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
〝ありがとう。楽しみだ。今夜は伊吹と寝る〟

「へっ!?」


 私と寝る……って、同じベッドでってこと!?

 衝撃的な宣言に驚き、ついすっとんきょうな声を上げてしまった。その直後、先生が私の背後からひょこっと顔を出して手元を覗き込んでくる。


「ああ、〝伊吹と〟のあとに〝同じ時間に〟が抜けてた。昨日、いつの間にか寝てて後悔してたんだ」


 間近に感じる気配と耳の上から響く低い声にドキドキしつつ、意味を正しく理解して「あー、な、なるほど……!」と頷いた。

 なんだ、そういう意味か、びっくりした! 今だけは先生の天然さが憎い……。

 でも、私との時間を大切にしようとしてくれているのは嬉しい。わざわざ返事を書いてくれたのも、すごく。

 もう一度メッセージカードを見つめ、喜びを隠せず口元を緩めていると、ふいに先生の顔が耳に近づけられる。


「一緒に寝たい?」


 問いかける声が妙に甘く聞こえ、ドキリと心臓が揺れた。


「伊吹さえその気になれば、いつでも実行するよ」


 耳を熱くして固まる私にそう囁いた彼は、ふっと小さな笑いをこぼして離れていく。
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