前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
ところが、一度不安になるといろいろなことが気になって、次の日も、そのまた次の日も悶々としてしまっている。
女性の看護師と笑みをこぼして話している姿を見かけるだけで胸が苦しくなったり、頭を撫でることすらされない日は無性に不安になったり。普段は気にも留めないところでやきもきするのだ。
唯一ほっこりするのは、お弁当に入れているメッセージカード。あれから毎日たわいもないひとことを添えているのだが、先生はそのたび返事を書いておいてくれる。
三日目の今日は、甘い卵焼きを作ったあとに彼の好みを聞いていなかったなと思い、〝卵焼き、しょっぱいほうがよかったですか?〟と質問形式にしてみた。
返ってきたカードには、〝甘いほうが好き。美味しかった〟と書かれていてほっとしたのだった。
日づけが変わる前、「おやすみ」と声をかけて先生がリビングを出ていったあと、私はひとりソファに座ってそのメッセージを眺める。どうしても〝好き〟の単語にばかり目が行ってしまうので末期だ。
……私に対する先生の気持ちを聞いても、答えてくれるかな。
なんとなくペンを持ち、新しいメッセージカードに文字を綴る。