前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~
〝先生、私のこと好きですか?〟


 そう書いたものの、こんな質問をお弁当の上に乗せるのはいかがなものだろう。明日は土曜日で先生も休みなので、そもそもお弁当は作らないが。

 やっぱりやめようと、カードを丸めて捨てようとした、そのときだ。


「好きだよ」


 背後から幻聴かと疑うような声が聞こえ、驚いた私はピンと背筋を伸ばす。振り向けば、いつの間にか先生が立っていた。

 水を飲みに来たらしくペットボトルを手にしているけれど、考え込んでいてまったく気づかなかった。ていうか……今、『好き』って言ったの?

 恥ずかしい質問を見られ、さらにそれに対しての返事をされたのだと理解して、唖然とする私はただ彼を呼ぶことしかできない。


「っ、せんせ──」
「俺は、伊吹のことが好き」


 ソファの背に手をついてもう一度はっきりと口にされ、みるみる心拍数が上がり顔に熱が集まる。

 無造作な髪がかかる瞳は、いつも目を合わせるときよりも明らかに情熱的に見え、真剣さが窺える。しかし、自分に自信がなくてどうしても疑ってしまう。


「……本当、ですか?」
「俺は責任の取れないことは言わない。忘れた?」
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