私、悪い子じゃないよ、いい子ダヨ
トップを独走し自慢げな笑み、ドヤ顔を浮かべていたのに途端にしかめっ面、つまり変な顔になった私を心配したのか従兄弟の中の一人が声をかける。
「どうしたの?急に変な顔して」
「…、なんでもない。少し嫌なことを思い出しただけー」
気を紛らわすために頭を降る。しかし、嫌な記憶ほど頭の中に残りやすいものだ。頭の中にこびりついた嫌な思い出を楽しいことで忘れようと、母親に声をかける。
「お母さん、おせちできたー?」
キッチンに立っている母親は濡れた手を拭きながらこちらに笑みを向けた。
「あとは盛り付けだけよ」
「ほんと!!?」
この料理のためにここにいる、と言っても過言ではないほどにおせちを愛している私は勢いよく立ち上がった。
「ええ、だから手を洗って席についてなさい」
「わかった!」