猟師少女グレーテル
だけど、それを調合するのに必要な材料が、全部高い。

だから、私はラルフと一緒に狩りをしたり、採取したものを売ったりして生計を立てながら、それを買うお金を貯めてるんだ。

まだまだ貯まりそうにないけど。まだ半分も貯まってないからね。

「お兄ちゃん、今からご飯作るね」

私はリボンを解くと、赤いフードの着いたケープを脱いだ。



『あんたたちなんか要らない!』

そういって、おかあさんは、わたしとおにいちゃんを森のおくにすてた。

『おにいちゃん……こわい……』

うすぐらくて、こわい。だから、わたしは、おにいちゃんにだきついく。

『だいじょうぶ。グレーテルは、ぼくがまもる』

おにいちゃんは、そういってわたしのまえに立つと、わたしの手をひいてあるき出した。

ガサガサと音がして、大きなイノシシが、とび出す。

『きゃあぁぁあ!!』

わたしは、こわくてさけぶ。おにいちゃんは、ギュッとわたしをだきしめた。

そのとき、バンッ!と大きな音がして、イノシシがたおれる。

『お、おまえはだれ!?』

ちゃいろのかみの男の子が、大きなじゅうをかた手に、わたしたちを見ていた。

『……おれは、ラルフ。きみたちは、どうしてここにいるの?』

ほほえんで、ラルフはわたしたちを見る。

『か、かあさんに……すてられて……』

おにいちゃんは、そのことをラルフに言った。
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