猟師少女グレーテル
『そうか……ここは、きけんだ。おれのいえに、いこう』

そう言って、ラルフはわたしたちに手を出す。

わたしたちは、その手をつかんでいた。



「……っ!」

私は、飛び起きるように目を覚ます。

過去夢を見てたみたい。まだ、お兄ちゃんが病気で倒れる前の。

「……」

私は、腰まで伸びた茶色い髪をくしゃくしゃと掻く。

「……お兄ちゃん。早くお金を貯めて、助けてあげるから」

私は眠っているお兄ちゃんを見つめて、呟いた。



「きゃあぁぁあ!」

いつものように獲物を探して森を歩いていると、どこからか悲鳴が聞こえてくる。

私は、すぐに悲鳴がした方へラルフに飛び乗って向かった。私の視界に、女性が熊に襲われそうになってるのが映る。

「……ラルフ、止まって。こっから撃ち抜く。ラルフの力じゃ、無理かもしれない」

私はラルフから飛び降りて、高そうな木を登った。

太い幹にもたれ掛かるように座って、銃を構えると、スコープを覗く。そして――。

銃声が鳴り、一瞬のうちに熊は地面に倒れた。

よし、命中!しかも、でかいぞ。いくらになるかな。

私は木から降りて、ラルフと一緒に女性の元へ向かう。ラルフは、何も言わずに女性に近づいた。

「……こら、ラルフ!怖がってるから、やめなさい!」

私は、銃を抱えながらラルフに近づく。
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