恋人のフリはもう嫌です

 年齢が近いからこその、小学生の頃に流行ったアニメの話や遊びの話で盛り上がり、俺は二人を温かい目で見守る上司というポジションに収まっていた。

 学生時代はスポーツをやっていたと話す松本さんは、がっしりとした体つきに反して、笑うと人懐っこい顔になる。

 これって女の子が弱い、ギャップってやつだよなあ、とまで思い心の中で嘲笑する。

 年齢は変えられないという、健太郎に言われた言葉が今更ながらに突き刺さる。

 彼女が松本さんに俺との関係を伝えていない様子なのも、松本さんの誘いを受けたのも。

 全て仕事のためで、なんなら俺のためという健気な気持ちからだというのも頭ではわかっていた。

 だからこそ、俺が彼女の気持ちを踏みにじるわけにはいかなかった。

 もしかしたら。
 彼女が健太郎の結婚を乗り越えるために、松本さんは最適な人物かもしれない。

 彼女と意気投合し、歳も近い。

 しかし、それがどうしたと、心の奥底から声がする。

 誰が見ても、邪魔者が俺だとしても。
 俺にとっての松本さんは、邪魔者でしかない。
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