恋人のフリはもう嫌です

西山透哉side

 メールが一通。

 的確な会議進行で、予定終了時刻よりも早く終わらせた会議後に、確認したメール。
 その内容に激昂していた。

『千穂ちゃん、お前が嫌になったって。俺が彼女の部屋で慰める』

「ふざけんな」

 心の声が漏れ、舌打ちをしながら健太郎に電話をした。

 もちろん出るわけもなく、呼び出し音だけが延々に続く。

「くそっ。やっぱり健太郎に頼むんじゃなかった」

 スマホを乱暴に内ポケットにしまい、彼女のマンションまで急いだ。
< 171 / 228 >

この作品をシェア

pagetop