恋人のフリはもう嫌です
これからは
総務内の意見をまとめたものを参考に、透哉さんが構築した社内勤怠システム。
そのシステム概要の資料と、キタガワで松本機器の製品を取り扱う場合のデモ版を持参し、今日の午後から紹介する段取りまで取り付けた。
そこへ来て私はトラウマの10階で、女性からの視線を浴びていた。
「荷物が多いから、俺の席まで手伝いに来てほしい」と、簡単に言った彼が恨めしい。
昼休み中に来たものだから、聞こえてくる悪意ある噂話が私を斬りつける。
「何様のつもり?」
「やだ。あれが?」
ほかにも耳を塞いでいたい内容が聞こえてくるけれど、全て聞いていたら身が持たない。
心を無にして聞き流す。
彼と合流すれば、あからさまな嫌味は聞こえなくなっても、無言の圧力をヒシヒシと感じる。
お陰で社用車に乗り込んだ時に、ついため息が出た。