恋人のフリはもう嫌です
恋人役は健全です
恋人役は健全です
総務の仕事を多少なりとも任されるようになり、困った事態によく直面する。
「吉岡さん。すみません。また」
「あらー。本当に相性が悪いのね」
懸命に仕事を覚えようという、熱意はあるのだ。
その熱意が変な方向に空回りしているのかどういう理由か、私が操作するとシステムが停止する。
「仕事中なのに、彼に会いたい電波でも出しちゃってるんじゃないの?」
ニマニマした顔でからかわれるから、ますます小さくなって「そんなわけないですよ」と縮こまる。
だから嫌なんだ。この体質。
昔から電化製品と相性が悪くて、すぐに故障させてしまう。
よく友達に「千穂は見えない電波を出しているのよ」とからかわれた。
その上、今はもうひとつからかわれる要素が増えてしまって、ますます肩身が狭い。