エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
私は開いた口が塞がらなかった。

どの口が言ってるの?

今頃言われても私が従うと思っているの?

「すみませんが、私の気持ちは変わりません」

すると明久さんはまるで切り札のように一人の名前を口にした。

「堤洋介」

「はい?」

私は自分の耳を疑った。

「例のキス写真の相手の男性の名前が分かったんだ」

「ですからあれはそう見えただけで実際は何もありません」

背筋が寒くなった。

なんでこんなに早くバレたの?

「じゃあ、そういうことにしておくよ。ただ、僕が君のお父さんに彼の名前を言えば彼はどうなるかな?僕のことをずいぶん信頼しているみたいだから娘さんがこの男とキスしてましたって言ったらきっと激怒してクビ?」

勝ち誇った顔に怒りが込み上げる。

「あなた、自分で何を言っているのか分かってますか?」

全身の震えが止まらない。

「分かってるよ。でも僕を見縊らないでほしいね。とりあえず考えておいて」

それだけいうと彼は高級外車に乗って帰っていった。

私はしばらくその場から動けなかった。


なんのために私は洋介さんと別れたの?

どっちにしてもあの写真を撮られた時点でアウトだったってこと?

やはり彼を助けるために私は彼の言いなりにならないといけねいのだろうか。
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