エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
だめだやっぱりごまかせない。

「こずえの言う通りよ。私は堤課長のことが好きだった……でももう終わったの」

いきなりの終了告白にこずえは口をぽかんと開いたままだ。

「だった……って過去形じゃん。それってふられたってこと?」

私は首を横にふった。

そしてかいつまんで今までのことを話した。

こずえはあまりの驚きに言葉を失っていた。

それもそのはず、愛人契約を結ぶ直前までこずえと一緒にバーで飲んでいたのだから。

「ちょ、ちょっと待って。じゃあ、私があの時飲み過ぎてなければ」

「こんなことにはならなかったかも」

「だよね……」

こずえは大きなため息を吐いた。

「ごめん。ずっと黙ってて」

「いや、課長が泉のことを好きなのは薄々感ずいてたんだけどね」

何気に言ったこずえだが私にとっては衝撃的な言葉だった。

「それっていつから思ってたの?」

「ん?ずいぶん前からよ」

そう言ってこずえはビールを飲んだ。

「ちょっと詳しく教えて」

「いいけど……会社やめちゃダメよ」

今度は私がビールを一気に飲んだ。

「できることならやめたくないわよ。だけどこのままだと彼が会社を首になっちゃうの」

「でもそんなことして課長が喜ぶと思う?自分の愛する人を不幸にしてまで会社に留まっていたいとは思わないよ」

こずえの言いたいことはわかる。

だけど洋介さんがどれだけこの仕事が好きなのかは近くにいた私が一番わかっている。

それに私がどう足掻いても明久さんと結婚することはもうきまってしまった事。

覆されない。

だったら私は自分の幸せよりも彼の幸せを優先したい。

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