エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
実はこずえと明久さんは初対面だ。
「はじめまして、泉さんの婚約者で鴨居と言います」
さっきまでのいやらしい言い方から一変し、丁寧な話し方の明久さんに寒気を感じる。
「ああ、あなたが鴨居さん?私、泉の親友で都築っていいます。ところで今日は泉と約束があるんですが、鴨居さんは?」
すると明久さんの足が一歩後ろに下がった。
「ああそうなんだ。それじゃあ僕が邪魔したら悪いから今日は帰ります」
すかさずこずえが「いいんですか?」と少し甘めの声を出した。
すると明久さんは鼻の下を伸ばし「いいんです。その代わり今度は三人で飲みにでもいきましょう〜」と言って車に戻った。
車に乗った明久さんが運転席の窓を開け手を振った。
私は黙って一礼した。
横ではこずえが笑顔で手を振りながら「あのゲス野郎」と呟いた。
車が見えなくなるとこずえが安堵したのか肩をガクッと落とし「良かった間に合って」と言った。
「こずえ、ありがとう。でもなんでこんなにタイミングがいいの?」
するとこずえは私にスマホを見せた。