エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「泉!」

「洋介さん?」

どうして?なんで?

洋介さんの机の上で涙を流していた私は慌てて立ち上がり机の上の涙をハンカチで拭き取った。

「電話をしても出ないし、社長室に行ったきり帰ってこないし……俺がどれだけ心配したかわかるか?」

走ってきたのだろうか洋介さんの息遣いが荒い。

だけど本当のことなんて言える訳がない。

「ごめんなさい。ちょっとバタバタして……」

突然のことにこれ以上の理由が見つからない。

だが私のデスクの上の段ボール箱を見た洋介さんは「あれはなんだ」と問い詰める。

どちらにせよ明日にはわかってしまうこと。

「会社を辞めるんです」

「なんでだ?!」

「……父からの命令です。さすがに社長命令じゃ断れないですよね」

「何があったんだ。何かなきゃこんな……」

洋介さんが悔しそうに握り拳を強く握る。

隠しても仕方がないと思い、私は今日、鴨居の社長と明久さんがここにきたこと。

そして鴨居の嫁としての務めを果たすように言われたことを話した。

その流れで結婚式までの間に鴨居のしきたりなどを覚えてもらうために明日から鴨居家に住むことになったことを説明した。

洋介さんは唇を噛みしめデスクに握り拳を叩きつけた。

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