エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
番外編 side 洋介 * 記念日の夜
春は出会いと別れの時期だ。
新入社員が入ってきたり人事異動があったり……。
俺と泉は相変わらず販売統括部でデパートを担当している。
そう言えば愛人契約をしたのもこの時期だったな。
もう1年になるのかと思うと月日の流れは速いものだ。
相変わらず互いの意見が違うとちょっとした言い合いになるのは日常茶飯事で、そんな俺たちが婚約しているなんて誰も気付いていない。
本当は公表してもいいと思ったのだが泉の正体がバレる心配もあるので公表の時期を見計らっているところ。
そんな中、後越デパートの都築さんから婦人下着売り場の責任者の竹中課長が異動になったと連絡がきた。
竹中課長は温和な性格で融通も効く人だったから正直移動は残念だ。
その日の午後に俺と泉は竹中課長と後任の課長に挨拶するため後越デパートへと向かった。
竹中課長は次長に昇進し、呉服売り場へ異動とのこと。
そして竹中課長の後任というのが……。
「初めまして、ウォルカの販売統括部百貨店担当課長の堤と有川です」
「津川です。前は寝具売り場の課長で婦人下着は初めてで……よろしくお願いします」
津川課長は高身長で爽やか系のイケメンだ。
前の竹中課長が40代後半だったが津川課長はずいぶん若そうだ。
そんなことを考えていると。
「津川先輩?」
隣にいた泉が驚いた様子で津川課長の名を呼んだ。