エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
店は後越デパートに近い大衆居酒屋だった。
店に入ると賑やかな笑い声が聞こえた。
都築さんの姿がチラッと見えた。ちょうど彼らの席の後ろ側にカウンター席があった。
格子で顔がはっきり見えないようになっているのは好都合だったのでカウンター席にしてもらい泉たちの様子を遠巻きからチェックすることにした。
注文に来た店員に烏龍茶と枝豆と言ったら露骨に変な顔をされたのは納得できないが、目的は食事じゃない。
俺は早速泉たちに視線を向けた。
すると泉と都築さんの間に割り込むように津川が座った。
しかもビール瓶を持って泉と都築さんにお酌している。
格子の隙間から泉の様子を見ていると随分飲んでいる様子。
このままじゃダメだ。
もちろん都築さんもやばい。
とりあえず都築さんの彼氏の働くバーに電話を入れた。
すぐに向かうとのことだったのでとりあえずもう少し様子を見ることに。
だが津川が泉の耳元で何かを囁いたのを見て、俺のイライラは頂点に達した。
「失礼します」
ほぼ乱入だ、だが津川と泉の隙間がないぐらい近いことに理性をギリギリ保った状態で「すみません、泉を迎えにきました」と泉の手を掴んだ。
すると竹中次長が「堤くん」と寄ってきた。
「突然乱入する様な形になり申し訳ございません」
頭を深く下げると次長は「いいんだよ」と終始ご満悦だ。
だが津川が俺の前に立った。
「これはこれは堤さん。どうしたんですか?彼女だったら大丈夫ですよ。なんなら僕が送っても——」
「いえ結構です。泉は僕の妻になる人なので、俺以外の男には指一本触れさせませんから」
思い切り睨んだ。
すると「課長すみません。私がいながら」と都築さんが頭を下げた。