エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「いいんだ。君の彼氏にも連絡したから間も無く迎えに来るだろう」

とにかく俺はこの場からすぐに立ち去りたかった。

「すみません。それでは失礼いたします」

あれはふらつく泉を支える様に店を出た。


「全く俺の気も知らないで」

車に乗せると水を飲ませた。

「洋介さん……ごめんなさい」

好きで飲んだわけじゃないことはわかっているし責めるつもりなど毛頭ない。

「怒ってないよ。家に帰ろう」

「うん」

家に着くと泉は吐くまでは飲まなかったが、熱いと言って服を脱ぎ始めた。

そう言えば俺が泉と愛人契約を結んだ日、同じ様な光景を目にした。

まさか記念日に同じことになろうとは……

「泉、大丈夫か?」

洗面所に行くと、泉は下着姿で立っていた。

「洋介さん」

「吐き気はないか?」

「うん、落ち着いた」

すると下着姿で俺に抱きついてきた。

「泉?」

「ごめんなさい。せっかくの記念日だったのに……どうしてもお酒を断れなくて」

「わかってるって……でもなんか運命感じないか?」

「え?」

「1年前と似た様なシチュエーションじゃない?」

泉は思い出したのかハッとして俺を見上げた。

「そうだった。あの時私自分で着ていたものを脱いで……自分から洋介さんにキスしたんだよね」

しまった。
あの時本当はキスなんかしていなかったという事を泉に話してないままだった。

「洋介さん?」

「ああごめん。そうだな」

だけどこのことはもう少し俺だけの秘密にしておこう。

「なあ、泉?」

「何?」

「せっかくの記念日だからお酒の代わりにお茶で乾杯しないか?」

「お茶でいいの?」

「ああ、先にベッドに入ってて。そこで乾杯しよう」

「うん」

俺はキッチン、泉は寝室へと向かった。
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