エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
私は自分の耳を疑った。

今愛人って言った?言ったよね。

「課長、自分が今何を言っているのかわかってますか?」

「もちろん」

抱きしめたまま耳元で囁く声は冗談ぽくはなかった。

「私をバカにするのもいい加減にしてください」

だが課長は「至って真面目だ」と即答した。

私の頭は混乱するばかりだった。

なぜ、私が女癖の悪い御曹司と結婚すると言ったら、課長が私の愛人に立候補するの?

理解できない。

「お前は周りがどうこう言おうがあいつと結婚する。しかも恋愛のなんたるかも知らずにだ。きっと結婚したってあいつの女癖は変わらない。だけどお前はそれを承知で結婚する。それって不公平じゃないか?」

「不公平?」

「どうせならお前も同じ土俵に立って結婚したらいいんだ」

同じ土俵……でもなぜそのお相手が課長なのかがわからない。

確かに課長はイケメンだ。

うちの女子社員の憧れだ。

私が知る限り派手な噂もなく、プライベートはミステリアスだとうちの部署の女子たちも言っている。

だけど私は何を考えているのかわからない課長が信用できないのだ。

そんなことができるのならとっくの昔にやってた。

恋愛だって好きなようにしていたと思う。

だけどしなかったということはできなかったってこと。

「ってか断る理由はないよな〜」

「え?」
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