エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「だって俺たちキスした仲だろ?それに俺たちの今の姿って上司と部下の関係とは言い難いよね」

「で、でもそれは私が酔って——」

「酔った勢いで自分から服を脱いで俺にキスをしたんだもんな」

タイムマシンがあったら昨日の私に外出するなって言いてやりたい。

そしたら私は裸になることもキスすることもなかったし、明久さんのもう一つの顔を知ることはなかったのだから。

でも現実はもう変えられない。

「ちなみに私が課長を愛人にするメリットってあるんですか?」

すると課長の顔がグッと私に近づいた。

それもかなりの至近距離。少しでも顔を横に向けたらキスしちゃいそうなほどの距離だ。

性格とか度外視したらこんな超がつくイケメンがこんなに近い距離にいたら否が応でもドキドキしてしまうもの。

こんなに緊張したのは内緒で入社試験を受けた時以来だ。

「そりゃ〜、女が女として生まれてきた喜びを知ることができるってことなんじゃないの?」

そう言って口角をグッと上げ不敵な笑みを浮かべた。

だけど私はその意味がいまいちよくわかっていなかった。

「女の喜びですか?」

「そう、キスよりもっとすごいこととか」

頭の中で私が課長に押し倒される映像が映る。

ダメダメ。何考えてるの?

「何でそんな提案をするんですか?会社じゃいつも言い合いばかりなのに」

そうよ。会社では何かと衝突する二人が愛人契約だなんて……考えられない。

「その大きな目に艶のある唇。綺麗な鎖骨と背中のライン。触り心地の良さそうな胸、そして程よく引き締まってハイヒールの似合う脚。それを鴨居に触らせたくないという俺のわがまま」

聞いてる私の方がドキドキしてきた。

課長は私をそんなふうに見ていたの?

どうしよう、なんか嬉しいかもって思っている自分がいる。
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