エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「ここから一番近い映画館だと駅前のスクエアビルだな。タクシーと電車どっちにする?」

電車だと知ってる人に見られてしまうかもしれない。

洋介さんはイケメンだからより目立つ。

「タクシーでいきましょう」

「了解」

洋介さんはタクシーを拾うと先に私をのせ、目的地を運転手に伝えるとタクシーは動き出した。

さっきまで繋いでいた手はタクシーに乗り込むときに離れた。

そう言えば明久さんとのデートで手を繋いだことってあったっけ?

考えてみると明久さんと本当の恋人らしいことは一度もないことに気づく。

隣に並んでいても一定の距離感があった。

会話だって砕けた感じというよりもなんだかお客と喋っている様な感じで常に緊張していた。

だけどそれがおかしいとは思わなかった。

いや、そういうものだと思い込んでいた。

だけど洋介さんといると全然違う。

タクシーに乗るまでの間も、急に手を繋いだり、意地悪そうな笑みを浮かべたかと思えば私を優先し優しく背中を押してくれる。

じゃあ、明久さんと例の女性は?

そう言えば、彼の話し方は私と話すときと全く違っていた。

砕けた感じで甘い言葉をささやいたり、気持ちを素直に表していた様に思えた。

「は〜」

思わずため息が出てしまった。
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